生命のしくみを徹底的に明らかにし、応用展開を目指す

生命理工学院の山口研究室では、生化学、遺伝学、ゲノミクス、プロテオミクスの最先端の手法を駆使して、基礎生命科学分野の真理を探究する研究に軸足を置きつつ、医学・薬学分野の、特に新薬の開発に繋がるような応用研究も積極的に行なっています。

1.ゲノム情報発現の制御機構の解明

当研究室では、ゲノムから機能的RNAが作り出されるまでの過程 ― すなわちエピジェネティック制御、転写の開始・伸長・終結、RNAプロセシングという一連の過程 ― の解明を目指しています。我々の体を構成する1つ1つの細胞は、同一のゲノムを持っているにも関わらず多彩な機能を果たしています。これは、ゲノム情報の発現が時空間的に極めて巧妙に制御されているためです。当研究室では、ゲノム情報発現の過程を制御するタンパク質因子群の同定・解析や、ゲノムから多様なトランスクリプトームが生じるメカニズムの解明を目指した研究を行なっています。こうした地道な基礎研究の積み重ねは、一例を挙げればES細胞がES細胞らしい性質を保持するしくみの解明などに役立ちます。

2.創薬を目指したケミカルバイオロジー

複雑な生体システムを理解する上で低分子化合物は極めて有用なツールです。ある化合物が生体に影響するしくみの解明は、標的タンパク質が関与する未知の生体内分子ネットワークの解明に繋がります。さらに用いた化合物が医薬品の場合、こうした知見はドラッグリポジショニングや新薬開発にも繋がります。ケミカルバイオロジーというのは、こうした課題に取り組む学際的な研究分野で、私達は独自の相互作用解析技術(プロテオミクス)や遺伝学的スクリーニング技術を用いて創薬を目指した研究を進めています。

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